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デザイン、リゾート、建築、本、映画、音楽、に関すること。myaquariummail@gmail.com


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安定中位

なかなか面白い分析だとおもう。確かに、日本企業のROEはとても低いけれども、それはリスクを取っていないからで、よくよく検討すれば、安定中位という見方もできると。他方、リスク選好をする国のROEは確かに高いけれども、リスクファクターを入れれば、失敗することも結構あるので、安定はしていない。つまるところ、リスクをどう内包していくか?ということが問われているということなのだろう。
http://bizgate.nikkei.co.jp/article/116114518.html?n_cid=TPRN0016

当時、ホテルでもRevenue Managementということで、収益の最大化を図るべく、稼働の低い日は比較的安く、需要の高いじきには高く売るといった工夫を行っていた。特に外資系ホテルの取り組みは非常に洗練もされているし、他のホテルとの価格優位含めて非常に先進的だった。一方の日本のホテルは、既存顧客を大切にするという面もあって、それほど大きな価格変動を伴う施策をとっていなかった。短期間では確かに外資系ホテルの方が、収益を最大化できているのだが、中長期で見ると、実は思ったほど日本企業と差がないみたいなこともあったような気がする。

同じテーマでもないのだろうが、なかなか興味深い。

ただ、イノベーションといった視点で考えると、結果的に新陳代謝が起こるということは、リスクリターンという以上に、席巻するというような視点も出てくるような気もするので、だから日本企業は優秀だという話でもないような気はした。



# by myaquarium | 2016-09-24 22:22

始めることと止めること

冨山さんの『これがガバナンス経営だ!』を読んだ。

とてもいい本だ。何より刺激的だ。馴れ合い経営をやめて、経営判断をする、つまり、儲かっていないものをやめる決断ができる経営を行うために、取締役会に社外取締役を入れて、しっかりチェック機能が働くようにすることが必要なことを、具体的な理由から積み上げていく。
何よりこの本が好著だと思うのは、日本企業の問題点は、売上高利益率が低いことを明確に指摘している点だ。ROEという指標を見る中で、財務レバレッジや総資本回転率は欧米企業と変わらないのに、結局、儲けられていないことが低ROEに結びついている点を明確にしている。儲かることに注力せずに、過去の栄光に縛られ、既に過去の事業になっていることをいつまでもやっているということだ。そしてその背景にあるのが、機能していない取締役会であることを紐解いていく。

経営は始めることではなくて、止めることなのかもしれない。もちろん新規投資は大切だ。総張りという状況自体は否定しない。リスクの絶対量が管理されている限り、より多くの新規投資対象があることは悪いことではない。問題は、その後だ。あるいは、既存の儲かっていない事業をどうするか?ということが重要なのだろう。

本書で触れられていた伊藤レポートについても大変勉強になる。レポートが提唱するROE8%を目標とする経営手法は、レポートにある通り、その前提として長期的視点に立った株式投資を行う株主が欠かせないし、その意味でROE8%というのはあくまで投資家からの意見でしかない面もある。ただ、重要なのは、経営側が、その指標をベンチマークに事業の統廃合というダイナミックな経営判断を行えるかどうかだと思う。その意味で、恐らく今の株式会社日本が取り組むことは、過去の栄光事業を捨てて、本質的にチャレンジをすることだと感じる。諦めるのとは違うけれども、やはり昨今、不正会計が行われてしまった企業は、結果として、不採算事業を切り離すことをいわば強制的に行うことになったと思う。それは、実は他の多くの企業にとっては、強制力なく自分自身で取り組む必要があるし、場合によって痛みも伴うのだろう。ただ、それでも次に進む勇気が求められていると思う。

ところで、本書では青木昌彦が何度か取り上げられていてそれはそれでとても勉強になった。宇沢もそうだが、制度比較の視点は本当に素晴らしい視座だと改めて感じた。今後、アジアの新興国などでもこういった研究蓄積が行われていくと、より大切なものが見えてくるようにも思った。

# by myaquarium | 2016-07-03 21:59 | book

イギリスの離脱について

歴史的な背景で見ると、イギリスの離脱は必然だったのではないかと思う。むしろ、EUへの統合プロセスに入っていたことが長い歴史の中では異例なのではないだろうか?
イギリスはシュンゲン協定に加盟していないし、商品、人、サービス、資本の移動の自由というEUの精神に対して、通貨統合も行っていないわけだし、そもそも問われるべきは、今後さらに加速的にEUヘの統合プロセスに参加していくのか?あるいは、やっぱり止めるのか?という話になったので、やっぱり止めます、ということになったのが、少し俯瞰した世界史に残る記述ではないかと思う。
もっと言えば、単純に、商品、人、サービス、資本の移動の自由という意味だけで、あくまで経済マーケットとしての統合ということを目的にしているのであれば、それは、通貨ブロックという視点からもあり得た未来だったと思う。ただ、今回のように「移民政策」といったような「政策」について統一的なアプローチを取ろうとすれば、やはり無理が生じる。結局のところ、EUは、冷戦後、ロシアや中東から孤立する形で、まさに神聖ローマ帝国的発想で閉じこもった結果、ヨーロッパ以外の国から見れば、「大した」困難に過去直面しないまま運良くやってこれた30年だった、というだけではなかったかと思う。
今回明らかになったことは、EUという価値観は、当然絶対的な歴史的帰結ではないということだ。国民国家ですら融解しそうになっているからこそ立ち上がるナショナリズムの中で、戦争でないという状態の平和であることを善だとするならば、問題は、EUがどうか?ではなく、過去の植民地問題含めてヨーロッパが自制的に世界に対して開いていくことが求められる気がする。
そしてそれは、まさに移民の受け入れ問題、ではなく、移民問題が発生している中東・アフリカ諸国に対して、過去の植民地政策を直視し、各国の産業を支援し、資源の使い捨ての発想をなくすことだと思う。
あるいは、結局のところイスラムに対して、ヨーロッパがあくまで1500年もの長きにわたる覇権争いとしてしか定義できないなら、やはりヨーロッパは域内自由という「都市国家」であって、むしろ高い防壁を築いて鎖国をしているとみられても仕方ない気がする。

# by myaquarium | 2016-07-02 12:27 | think

知日という雑誌があること

BS1スペシャル「私たちが日本を好きな理由~中国・変わり始めた対日観~」
というのを見ていて、ハッとした。今の日本に、逆のメディアはあるのだろうか?ということについてだ。

ドキュメンタリーで紹介されていたのは「知日」という雑誌だった。実際に、神保町の東方書店で中身も見てみたが大変驚いた。もちろん、中国語なので内容をきちんと理解できているわけではないのだけれど、かなり事実の積み上げを丁寧に解説しているように思えた。

近年のクールジャパン、とかそういうことよりも何よりも、今、同じ視点を持って中国を見た雑誌というか、そういうものがあるのかがすごく気になった。自分にはパッと思い浮かばなかった。そしてそのことに大変なショックも受けた。日本を、外国の目を通して再発見することも大切だろう。だけど、それと同じくらい、あるいはもしかしたらそれ以上に、世界を、あるいは、中国を我々はどう見てきたのか?そして実際にどうなのか?ということについて、イデオロギーを極力排した形で再構築することがとても大切だと思う。

ドキュメンタリーの中では、中国は、80年代は日本との友好ムードが盛り上がり、比較的80年代生まれはそういったことを実感をもって理解できているが、ソ連崩壊以降、中国が社会主義から民族主義に国家のアイデンティティを切り替えた結果、90年代以降は反日が強まってきた文脈があると、知日の読者は語っていた。一方で、だからこそ、日本に実際に来てみた90年代生まれの驚きが、本質なのだろう。
確かに、実際に日本と中国は戦争をして、ある日本人が、ある中国人を殺したことは免れない事実だと思う。ただ、歴史は決してそれだけではなかったはずだ。善悪を超えた客観的な史実の積み上げと、必ずしも過去の延長ではない、現時点での冷静な事実の積み上げは、きっと尊い。その意味で、逆に、日本に、知日のようなメディアがないこと、そのことはボディイブローのように効いてくるのではないか?そんな危機感を感じたドキュメンタリーだった。

# by myaquarium | 2016-04-10 18:20 | think

人は見たいものを見出す

コンサル時代、尊敬する先輩の分析に、沖縄輪廻論というのがあった。それは、沖縄に対する本土(敢えて表現すれば)の定義は、本土の想いそのものだったと。戦後、沖縄へ照射されていたのは、慰霊の旅だった。そしてその後、リゾートとして、言わば快楽としての沖縄があり、ちゅらさん以降は、癒しの島に。最近では、それは伝統だったり文化になっている気もする。
つまり、沖縄に求めていたものは、日本人が精神性として、頼っていたもの。それを沖縄に照射していたのではないかと。

同じことが、中国や北朝鮮に対する昨今の日本人の見方に現れているという気がどうしてもしてしまう。

日本観光に来て日本礼賛をする外国人インタビューをマッサージとしてのメディアが垂れ流すことは、とどのつまり、自分たちの方に迷い、があるということにつながっていないか。
あるいは、中国で粗悪品が出回っているとか、メディア統制が厳しいとか、あるいは北朝鮮が軍国主義だとか、そういう見方は、実は、自分たちの奥底にある不安をそこに照射していないか。
なぜ、日本の桜が咲いた程度の話題を取り上げながら同じレベル感で、北朝鮮のミサイル発射をニュースは流すのか?その本質的な意味をあまりにも無自覚に我々は受け入れてはいないだろうか?

政治というほど大げさな次元でなくとも、流石に真面目に考えていかないといけない気がするし、既存メディアや言論が、自らの矜持を崩す形で、正確なファクトの積み上げが今は必要なタイミングなのかも。

# by myaquarium | 2016-04-02 11:59 | think